TENGA VOICE

HIRO YUMOTO

#87

HIRO YUMOTO SEE SEE ディレクター

僕はTENGAをアートとして見ています

モノやブランド、カルチャーやインフォメーションが溢れている世の中だからこそ、本当の本当に気持ちのいいGOOD FEELINGをお届けしたい。みなさんのお気に入りはどんなモノゴトですか?最先端の時代だから、人間一人一人のキャラクターを大切に、たのしくおかしく生きていくことが気持ちいい。そんなふうに、海外ではもう当たり前となったスモール・コミュニティのエンパワー。今回のVOICEゲストは、そんな真心を届けるブランド『SEE SEE』ディレクターHIRO YUMOTOさんです。地元静岡を拠点に、伝統工芸“挽物”*を取り入れたおもしろくも美しいモノ作りの魅力を感じてみましょう! *挽物…木材をろくろや旋盤で挽いて円形の器物をつくる技術

さっそくですが、『SEE SEE』はどのようなきっかけで立ち上げたのですか?

「サンフランスシスコで『WOODSHOP』というギャラリーの様なショップに感銘を受けたことがきっかけです。元々、僕はBARだったりセレクトショップだったり、色々やっていたのですが、モノを探してお客さんに届けるまでの流れの中で、違和感を感じることが多くなってきてしまって。そんな時にアメリカのスモール・コミュニティという考えに出会いました。友だちだったり、仲間同士で作ったモノを“コレ良いね!売ってみようよ”みたいな小さな動きがおもしろくて。僕が良いと思うものだけを、自分たちのコミュニティでやっていくスタイルが僕にも合ってるなと思いましたね。」

友だち同士のそういったコミュニティがあるということが、もう最高ですよね。

「コーヒーを飲みつつ、おもしろいクリエイティブなことをしている人たちに、すごく刺激を受けました。ちょうどサードウェーブコーヒーがサンフランシスコで流行っている時です。静岡にも海も山もあって、街自体も狭いので空気感的には似ているなと思いました。また、スケーターもいて、サーファーもいて、アーティストもいてっていうカルチャーがしっかり根付いていますよね。」

気持ちいい環境がすぐ近くにあったのですね。

「はい。やっぱり空気感が東京よりは静岡の方が僕には合ってますね(笑)。『SEE SEE』をはじめた時はこんな感じになるとは思ってなかったです。すごく人に助けられてきました。ここまで来られたのは本当に感謝しかないです。僕の力だけでは絶対にここまで来られなかったです。」

カルチャーがあって、コミュニティがあって、濃いつながりで刺激しあってクリエイティブな物が生まれていく。まさに、スモール・コミュニティのまさにエンパワーですね。

「おもしろいと思ってくれる方たちに、いっしょにやりたいと感じてもらえていることがラッキーだなと。」

挽物を取り入れた花器をはじめ、ストーリーが感じられるアイテムばかりですが、どのようなモノゴトからインスピレーションを得ているんですか?

「アイディアが閃くのは、本当にもうデイリーにあるモノですね。それでアメリカを感じられて、ちょっとだけ不良感があるモノ。インディペンデントなくすぐりの部分を大事にしています。」

お話を聞いていると、HIROさんは環境や時間といったライフスタイルそのものをとても大切にしているように感じるのですが、特に大切な時間はありますか?

「家族の時間が一番大切なので、あまり忙しくしたくないです(笑)。僕の事務所が三保の松原にあるんですよ。1分歩くと海ですし、松原があって富士山がドンなので、そういうところを散歩しながら、集中して考えているとおもしろそうなことが浮かぶことが多いですね。」

そういった環境で挽物の技術をデザインに取り入れるというアイディアが生まれたのですか?

「挽物師のパートナーとは、元々、テキーラ仲間でした(笑)。僕のことをひたすら好いてくれていて、会うたびにお互い潰れるまでテキーラを呑むっていう関係だったんですよ。でも真面目な話をするときには、しっかりしたモノを作っていきたいという話にお互いなります。やっぱり職人なので。そうやって進んできましたね。」

挽物アイテムだけでなく洋服も作られていていますが、どのようなブランドを目指していますか?

「洋服は、あくまでもスタンダード・ベーシックが基本にあって、ちょっとアート性が感じられるモノですね。挽物ともリンクしているんですが、形に特徴があるけれどもすごくベーシックということを意識しています。『SEE SEE』のスタイルを築くためには、アパレルも必要かなと思っています。ただ、軸はやっぱり挽物ですね。伝統工芸も和テイストのモノが多いんですけど、そこをグッとアメリカに寄せて、あまり筋をブラさずに好きなことをやるところが『SEE SEE』の魅力でもあるかなと思っています。」

『SEE SEE』の良いモノ、おもしろいモノ作りへの姿勢は、私たちTENGAも大好きです!

「TENGAさんは、10年くらい前にバラエティショップで見た時に、“これなんだろう?”というのが頭に残っていて。ある日、友だちの家に遊びに行った時に、キース・ヘリングのTENGAがディスプレイとして飾られていたんです。そこではじめて機能を知ったんですよ(笑)。」

純粋にモノとしての印象が強かったんですね?

「デザイン的な曲線の美しさとか、僕はTENGAをアートとして見ています。」

“TENGA VASE”なんていかがでしょう?と、お聞きしようと思っていたのですが、サプライズで実際に制作してきていただいたのには本当にびっくりしました!

「インタビューだけしてもらっても、何かサプライズがないとおもしろくないなと思って(笑)。」

 これは!本当にめちゃくちゃ良いです!

「ここに花が挿さることで、発射するという美学ですね。僕的にはボーダーがTENGAさんの特徴なのかなと思っていて、色々と試作もしてみたんです。でもボーダーを入れると、頭の方のラインの落ち方がどうしても丸くならなくて。僕も、もちろん挽物師も納得いかなくて、やっぱりこっちの方が良いねということになりました。ちゃんと木目の模様も出ましたね。」

お二人での制作はどのように取り組むのでしょうか?

「僕がこういうモノを作りたいと相談するところから始まります。実は今回のお話をいただく前からずっと、何かおもしろくて『SEE SEE』らしいクリエイションをしたいとずっと考えていて。そんな時に、TENGAさんと『HUF』の“FUCK IT”コラボを見たんです。僕の中ではTENGAさんにアート性を感じていて、エロではなくて、カッコいいと思いますね。おもしろおかしく出来そうな、まさに挽物に向いている形だったので、どこかのタイミングでやってみたいと思っていたんですよ。一応アンオフィシャルでやってみようかとも思ったんですけど、怒られても嫌ですし(笑)。ずっとためていたんです。」

そんなお話を聞くことができて、すごく嬉しいです!いろいろな出会いから素敵な作品が生まれていくんですね!

「おもしろい人たちと出会えて、一緒に仕事ができることが最高の瞬間ですよね。実るということが僕にとってはリスペクトできますし、感謝の気持ちをお返ししたいと思います。なので、やっぱり出会いは大切ですね。」

そんな想いが込められたモノ・コトは、やっぱり素敵ですよね。このTENGA VASEも本当に素敵です。

「挽物師が実物を見ながら、全部手の感覚だけで何十個、何百個と作っていくハンドクラフトなので、手作業で一つ一つ作るというのはすごく大事です。これは本当に良いですね(笑)。<TENGA>の文字がウッドでもわかるように、ダイレクトな伝え方が良いかなと思いました。木にプリントできるというのも『SEE SEE』の強さでもあります。」

 最後に、『SEE SEE』として大切にしていることを教えてください!

「ご縁で色々な人たちと関係性を持たせてもらって、一緒にお仕事ができることですね。どちらかと言えば、静岡にいるとやっぱり刺激って少ないんですよ。空気感もゆるいですし、考える時間はたくさんあるんですけど。東京に来てコミュニケーションをとって、たくさん刺激をもらって、それが僕にとっての新しいアイディアにつながって。今っぽくておもしろいことをやっていくのが『SEE SEE』スタイルなのかなと思っています。静岡に住んでいて東京で仕事ができるというのは、やっぱり皆さんのおかげですね。たくさんおもしろい話を頂いて、静岡でしっかりインプットして、東京でアウトプットしてという、本当にありがたいことですよね。」

 いいモノ・いいコト。今日のいい動きは、人と人からはじまって、また次の誰かの気持ちいいにつながっていきますね。HIROさん、パートナーの挽物師さん、お二人(そして『SEE SEE』につながる皆さん!)が作り上げたTENGA VASEのやさしい手触りが素敵でした!ありがとうございました!!

HIRO YUMOTO

HIRO YUMOTO SEE SEE ディレクター

ディレクター、オーガナイザー

SEE SEE Director
YES GOOD MARKET Organizer
Stripes For Creative Director

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