TENGA VOICE
#29
武藤 昭平 勝手にしやがれ
TENGAってものすごく誠実だなって思うんですよ。
セックス・ピストルズ唯一のスタジオ・アルバム、ジャン=リュック・ゴダール不朽の名作、沢田研二の大ヒット曲のタイトルを冠したバンド、勝手にしやがれ。その硬派な男の美学を表現する勝手にしやがれ・武藤昭平が、TENGAの美学を語る──。
勝手にしやがれの硬派な男の美学、大好きなんです。
「ずっと前から硬派なものが好きで、自分が表現をする時に得意なほうに進んでいくと、どうしてもそういう硬派なものになっちゃうんですよ。下ネタはどうも照れくさくて。」
表現としてエロはなしってことですか?
「うーん。自分の表現とは別で、エロはそりゃ好きですよ。男ですからね。セルジュ・ゲンスブールに憧れてはいるんです。あの人の表現はエロティックだし、カッコいい。当時の映像なんか観ても女の子をはべらかして歌ってる。ただ、勝手にしやがれに、あの要素を入れると何か違うのかなぁっていうのはありますね。」
そんな武藤さんにTENGAはどんなふうに映るんですか?
「行きつけのバーのカウンターに酒のボトルに交じってTENGAが置いてあって、若いお客さんたちはみんな知ってて。スゲェなぁ、人気なんだなぁって思ったんです。女の子も知ってて、普通にTENGAについて話してて。その感じがいいな、と思いました。」
その感じっていうと?
「日本ってずっとそういうものを隠してきた文化だったでしょ。でもそこをさらけ出すことで見えない壁を壊して、日本人の新しいステータスとアイデンティティを作ってくれるのかなぁって思ったんです。ちょっと大げさかもしれないけど、こういうアイテムの登場によって見えない壁を壊していくこと、それが世界に誇れる日本を作っていく一歩なのかなぁって。」
実はTENGAは世界40カ国で発売されていて、6秒に1個売れている計算になるんだそうです。まさに日本が誇る新しいグローバル・スタンダードと言えますよね。
「へぇー、すごい! あとTENGAってものすごく誠実だなって思うんですよ。今までのこういうグッズって値段こそ高いけど、お粗末なものばっかりだったじゃないですか。でもTENGAは使う人のことを丁寧にきちんと考えて作られている気がするんです。その誠実さも世界で認められている理由のひとつなんじゃないのかな。」
TENGAはメイド・イン・ジャパンで、品質にもものすごくこだわっているんです。
「その適当にしない姿勢に、僕は美学を感じます。愛もそうであってほしいと思うし。性欲や遊びで女性を求めるんじゃなくて、きちんと愛する人とだけセックスをする。もし、よこしまな誘惑があっても『僕にはTENGAが付いてますから!』と。」
僕もそうありたいです! ところで、勝手にしやがれは結成15周年記念の2枚組ベスト盤『シルバー&ゴールド〜ゴールド2004-2010』が出ますね。
「メジャーに移ってからの曲を集めたベストです。意外と曲がたくさんあって2枚組になりました。でも振り返ってみると15年分の足跡が残っているなぁと思うと同時に、まだまだやれることもたくさんあるなって思いますね。」
じゃあいつかはエロティシズムの世界にも?
「まだまだ硬派な部分でやりたいことがたくさんあるから、だいぶ先なのかもしれないけど、いつかはゲンスブールみたいにPVに女性たちをはべらかしてね(笑)。でも俺らがやるとどこか硬派になっちゃうんですよねぇ。例えば、よく見るとメンバーみんながTENGAを持ってて、決めゼリフにこう言う。『俺にはTENGAがありますから!』──勝手にしやがれの硬派はTENGAにありき、と(笑)」
武藤昭平 勝手にしやがれ
1968年、福岡県北九州生まれ。
勝手にしやがれのドラム、ヴォーカル。
勝手にしやがれは97年結成。さまざまなジャンルのジャズをパンク・ロックの精神で独自の音楽に昇華。ギターレスで、ドラムがヴォーカルを担当する独特のスタイルが特徴の7人組。メンバーはリーダー武藤、田中 和(Tp) 、福島 忍(Tb)、浦野正樹(B)、田浦 健(T/Sax)、飯島 誓(B/Sax)、斉藤淳一郎(Pf)。2012年6月20日に結成15周年記念2枚組ベスト盤『シルバー&ゴールド〜ゴールド2004-2010』をリリース。