TENGA VOICE
#99
畠山駿也(Jeni) 格闘ゲーマー
やりたいことを実現するために、試行錯誤できるのが自分の強みであり、自分らしさかなと思います。
今回のゲストは、格闘ゲーマーの畠山駿也(Jeni)さんです。畠山さんは、難病である筋ジストロフィーの当事者。病状の進行で一度はコントローラーを握れなくなるも、顎で操作できる「チンコントローラー」を開発し、格闘ゲーム界に復帰しました。コントローラーのレバー部分には、なんと緩衝材としてPOCKET TENGAを使用。男性向けマスターベーションアイテムであるPOCKET TENGAを、なぜコントローラーに使用することになったのか? 「チンコントローラー」の開発秘話やこだわり、今後チャレンジしていきたいことなどを伺いました。
TENGAを初めて知ったのはいつでしたか?
高校時代に同級生から聞いて知りました。「成人したら買う!」と息巻いていた友達を見て笑ってましたね。(笑)
当時は「すごい気持ち良いらしい」というネットの文字情報しか無かったので、どんな構造で出来ているのか興味が湧いたのを覚えています。
その後、身体障害者支援活動として、TENGA用カフを開発していることも知りました。誰でもTENGAが楽しめるような工夫を当事者と共に考えていることに、当時すごく感心しましたね。
今のTENGAの印象はいかがですか?
様々なアクセシビリティについて愛を持って真剣に取り組んでいる企業という印象です。
見た目や素材感、使いやすさなど、ここまで使う人のことを真剣に考えている企業というのは、TENGAの他に中々思いつかないですね。
プロダクトの細部だけではなく、新しく始まったTENGA able! projectなどの様々な取り組みに驚かされています。
TENGAのプロダクトを実際に手に取ってみて、どう感じましたか?
どの製品も手に取りやすいデザインですよね。普段は大体赤色(TENGA ORIGINAL VACUUM CUP)をドリンクホルダーに飾っています。
先日発売されたTENGA PUFFYも、ほこりの付きにくさや表面の加工、デザイン性を見て感心しました。手に触れる素材がすごく肌に優しそうなので、今私が使っている「チンコントローラー」にも使うことができたらなぁ……と考えちゃいましたね。(笑)
TENGAは「愛と自由とTENGA」というブランドメッセージのもと、「自分らしさ」を大切にしています。畠山さんにとって、「自分らしさ」とは何だと思いますか?
出来ないことを理由に断念するのを受け入れない、こだわりの強さでしょうか。
やりたいことを実現するために、試行錯誤できるのが自分の強みであり、自分らしさかなと思います。
「チンコントローラー」はどういうきっかけで開発されたのですか?
今から2年ほど前に、「ゲームに人生を狂わされた話」というnoteを公開しました。当時は病状が進行して格闘ゲームができなくなり、別の対戦ゲームに挑戦していました。noteを読まれた方からも沢山の応援をいただいたんですけど……やっぱり自分の本当にしたいことは格闘ゲームだったと気づいたんです。これから先ずっと格闘ゲームをやらないのはすごく嫌だな、と思って。
「じゃあどうやったら格闘ゲームができるんだろう?」と考えたのが始まりでした。
「チンコントローラー」の制作は、どのような流れで進めてこられたのでしょうか?
制作は試行錯誤の連続でしたね。例えばアーム部分は、長さや角度を調整できるようにして、設計資料に書き出し、必要なパーツを一つ一つ集めていきました。
バネやボタンは柔らかいものを選んでいて、体に負担が掛からないよう、とても軽く操作ができるようになっています。
固定部は机に挟む形になっていて、車いすや机が変わった時にも簡単に調整ができるよう、今後の使い方も見据えて制作しました。
制作にあたって、特にこだわった部分はありますか?
顎に当たる「チンカップ」というパーツです!ここにPOCKET TENGAをはめて使用しています。アメリカでコントローラーのレバー部品を製造している方に、3Dプリンターで作っていただきました。
制作は私一人の力だけではなく、手伝ってくれた方々の存在が非常に大きいです。私はゲームのことは好きでも、コントローラーのことは分からない部分も多くて。
格闘ゲーム仲間であり、エンジニアのまさきクラフトさんや、パーツを買い付けてくださった叢雲商店さん、理学療法士や作業療法士の先生など……。たくさんのプロの方にサポートしていただきました。
TENGAをコントローラーの緩衝材に使用することを思いついたきっかけはあるんですか?
顎を痛めないで操作をするために、肌に優しいクッション素材をずっと探していました。
エンジニアの友人に「コンドームを被せればいいじゃん」と言われて、「それでもいいけど、素材が薄すぎるよね」という会話をしていて。その会話がきっかけで、「じゃあTENGAならどうだろう?」と思いつきました。
元々TENGAに興味はあったし、緩衝材に使えなかったとしても、本来の使い方で使えればいいかなと思っていました。きっかけをくれた友人には感謝していますね。
「チンコントローラー」を使って良かったことがあれば教えてください。
真空波動拳コマンドが思い通りに出せるようになったことです!
「チンコントローラー」を使い初めてからはTENGAのグリップが効くので、細かい操作がしやすくなりました。肌に優しい素材なので、顎の痛みもなく快適です。
周囲からの反響はいかがでしたか?
AUTOMATON(オートマトン)さんの記事*で「チンコントローラー」が紹介された時は、特に反響が大きかったです。記事タイトルがキャッチーで、自分でも笑ってしまいましたね。「タイトルから想像した内容と、良い意味で違っていた」という声が寄せられたほか、「感動した」「笑っちゃったけど、いい内容だった」と言ってくれる人もいて。
色んな人の心をゆさぶることができたんじゃないかな、と嬉しかったですね。自分がゲームをすることで人を笑顔にできる日が来るとは、思いませんでした。
*自作チンコントローラーに、TENGAが製品提供。障害と戦う男性の快適なスティック操作を支援
推しTENGAがあれば教えて下さい!
POCKET TENGAがオススメです!肌に優しく、誰でも手に取りやすいデザインが最高ですね。どっちのチンにもオススメです。
「こんなTENGAがあったら!」というアイデアはありますか?
スマホで操作できるスマートTENGA……なんていかがでしょうか。
私の体ではボタンを押す操作が難しいので、「IoT TENGA」みたいなものがあれば面白いかもしれません。
畠山さんが今後挑戦していきたいこと、TENGAと一緒にやりたいことがあれば、教えてください。
今後はオフラインのeスポーツ大会にも挑戦したいと思っています!場所を選ばず大会に参加できるように、コントローラーを直接取り付けられるような、一体型の車いすを作っている最中です。
今年の3月末に「EVO Japan 2023」というeスポーツイベントがあるので、もし間に合えば、新しい「チンコントローラー」も準備していきたいなと思っています。
また、私はTENGAの素材を使ってコントローラーを作りましたが、今後はコントローラーにこだわらず、他のデバイスにも使えるようなアイテムも作ってみたいですね。
自分一人のためのものづくりではなく、色んな人が自由に活動できるようなものづくりをTENGAさんと一緒に考えられたら面白そうだなと思っています。
畠山駿也(Jeni) 格闘ゲーマー
格闘ゲーマー
1994年、岩手県生まれ。指定難病「デュシェンヌ型筋ジストロフィー症」の格闘ゲーマー。18歳の頃、格闘ゲームと出会う。持病の進行でコントローラーが握れなくなり一度は諦めるも、遊ぶことを諦めきれずあごで操作する“チン”コントローラーを仲間の協力を得ながら制作。現在はeスポーツを通して障害者活躍支援を行う企業「ePARA」の社員として働きながら、ゲームアクセシビリティに関する工夫などを発信している。